疲労破壊について

 

 

平成になった頃からか、出社できない人がどの職場でも増えてきた。うつ病か、うつ病予備軍になる。

これは、勤続疲労だと思う

 

今日の話は金属疲労

 

同音異義だが、類似しているところもある。

 

右図はいずれも引張試験の結果で、上は鋼材、下左はアルミとか銅、下右はガラス等の脆い材料になる。

赤線部は弾性変形領域でこの区間であれば、力を除去すると元のサイズに戻る

赤線部を超えると、永久歪と言って、下左のように平行線を引いて応力ゼロに相当する量の歪が残る

これを塑性変形という。プレス加工(自動車ボディ)とか押出加工(アルミサッシ)とか引抜加工(線材)等は、この塑性変形を起こして元の形から変えている。これを塑性加工という。

弾性は、elasticになり、塑性はplasticになる。

 

ところで、プラスチック爆弾なるものが存在するが、あれは樹脂で出来ているのではなく、粘土状のもので、穴に詰めたり、隙間に入れたり変形できるという意味である(実はまだ見たこと無いので、意味であろう)

 

出来上がった製品は、降伏応力(抗張力)より下でさらに安全率を掛けた応力しかかからないようにする必要がある。 

ところが、降伏応力(抗張力)より下で長年使っていても、それでも破断する事がある これを金属疲労とか疲労破壊という。

破面を見ると、右下図のように、どこかにスタート地点があり、そこから波紋が拡がっているのがわかる

これをビーチパターンとか貝殻模様と呼んでいる。この写真ではわかりにくいが、波紋の部分はざらついて

光沢が無いのに対し、最後に脆性破壊した部分は白っぽく表面も平滑で光沢が確認出来る時もある。

要は、長年かけて疲労破壊が進行して、ある断面積になった時点で一気に脆性破壊したわけである。


 

疲労破壊で有名なのは、19858月のジャンボ機墜落と20075月のエキスポランドのジェットコースターの事故である。

前者は、アルミ製圧力壁の補修ミスで壁が圧力差によりベコベコした結果で、後者は点検不十分がためにまさしく上の写真のように車軸取付ボルトが折れ、脱輪した。(笹子トンネルでも言われたが、目視だけではNGで、ハンマーでの打音検査が必要)

 

一方、勤続疲労においても、上司は同じように部下に接して指導して時に叱っても、一部の人には過剰なプレッシャーとなって、ストレスが溜まりある時に一気に出社拒否とかになり周囲はびっくりするわけである。休暇をとった後に職場復帰しても再発する事が多いように思う。

私見だが、無口な人と結構陽気にはしゃぐ人では、後者の方が勤続疲労になりやすいように思えて、さらに対応が難しくなる。